©水木プロ
1979年の『アサヒグラフ』10月19日号・26日号に、フリーのルポライター堀江邦夫さんの原発労働者のルポルタージュと、水木しげるさんのイラストレーションが掲載されました(当時の題は「パイプの森の放浪者」)。
33年前に発表されたルポルタージュであるにも関わらず、その内容は原発の現場がいまも昔も変わらぬものであるということに驚かされます。
この作品は、昨年3月11日の福島原発事故発生後に単行本として新たに編集され、8月に『福島原発の闇 原発下請け労働者の現実』として朝日新聞出版より刊行されました。原発労働を体験するため身元を隠して福島原発で働いた堀江さんの迫真の報告、そして水木さんの力の入った細密なイラストレーションの迫力には圧倒されます。
『福島原発の闇』の解説によれば、水木さんは「原発で働く労働者の姿に、無責任な大本営体制のもとで末端兵士として死にかけた自らの戦争体験を重ねていた様子だった」そうです。
この一連の作品の原画は見つかっていませんが、丸木美術館では、“福島から広がる視点”の特別展示の一環として、当時の『アサヒグラフ』のイラストレーションを拡大複写して紹介することにしました。
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