8.05 雨の日の運動会(校長室より)8.05 雨の日の運動会(校長室より)
第100回全国高校野球選手権大会が、今日から甲子園で史上最多の56代表校が出場して開幕しました。その話題に関する中日新聞のコラムを紹介します。
・・・・・中日新聞 2018.8.5「中日春秋」より抜粋・・・・・
脚本家の山田太一さんが、知っている子のいない小学校に運動会を見に行ったそうだ。雨が突然降ってきた。リレー競争は雨の中で決行されることになった。泥に足をとられ、転倒する子が続出したそうだ。みな泥まみれで素晴らしいレースとなった。山田さんの心に残ったのは転ばずに一番で走った子供よりも「二度もころんで、ひきはなされて、それでも走った泥まみれの」子供だったそうだ。よく分かる。
甲子園の夏がやって来た。勝利をつかむ限られた者と、それよりも圧倒的に多い敗者が、また生まれる。若者たちのプレーに目が離せないのは、「ころび、ひきはなされ、それでも走る」敗者たちを慰めたいと思うからか。山田さんの文章にふと思う。ひょっとして慰めているのはグランドで嗚咽(おえつ)する球児だけではなく、過去のわれわれ自身か。夢はかないにくく努力は必ずしも報われない。それを思い知らされた大人は夢という白球をひたすら追いかけ、希望というバットを信じて強振する球児にかつての自分を重ねる。白球に手が届かず、バットがむなしく空を切ったとき、若者のその痛みと、大人になったわれわれ自身の過去の夢に泣く。夏の甲子園に懐かしさを覚えるのは、現在と過去が、若者と大人が交錯する場所だからだろうか。百回の記念大会。気をつけてくれ。この夏はとびきり暑い。さあ行け。
・・・・・抜粋終わり・・・・・
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