2011.2/27 更新しました
◎おもわず愚痴その1
この国の将来はどうなってしまうのだろうか。私は心配である。社会保障分野は、重要な国の柱の一つであり、多くの経済学説も、社会保障の成長なくして国の発展は無いとしている。私が現場で感じる事は、医療そして医療と表裏一体である介護を含めた福祉の現場が、もはや瀕死の状態であるという事である。国民の将来を考えて政治的な発言を避けていた我々医師の責任も有るのでは無いだろうか。
先日、当院にある難病でかかりつけの独居の御老人が、夏バテを起こして数日間点滴に通った。一向に回復しない。通院も、自宅療養も限界である。これ以上の外来での対応は困難であると考え難病を治療し、現在もその方をフォローしている地域の中核病院の主治医に連絡を取った。ベッドは空いているので、今すぐ受診してくれとの返事であった。お互い胸を撫で下ろし、喜びあい、付き添いの介護ヘルパーの送迎車を見送った。すると、翌朝、クリニックのドアーを開けられないで、一人でもがいているそのご老人がいるではないか。主治医からの手紙によると、緊急で検査したが難病の増悪ではなく、ただの夏バテであって緊急で入院し治療する病状ではない。他の急患の治療でベッドも空けておきたい。仕方ないが帰宅させたとのこと。私は絶句した。夏バテだとしても立派な病気ではないか・・・。
しかし、まず担当医の責任では無いと私は思った。私も、ついこの間まで、総合病院の勤務医で日々、同じような応対に追われていたのである。医師個人の問題というよりは、これは医療システム崩壊の問題である。今の病院では、専門治療をこなすだけで、医師も病院も手一杯でなのである。昔町中にあった、よろず屋で、病状などに関わらず気軽に入院できた、いわゆる老人病院は、国の医療費抑制政策のあおりで、多くが潰れてしまったのである。病院を減らした代わりに、家で患者を介護する在宅医療を推進していると国は言うかもしれないが、核家族、老老介護や孤独死が社会問題になる中で、在宅医療が国民を救う医療に代わるとは私は思えない。
世の中には、気づかないうちに医療弱者が急増しているのである。今健康で暮らしている若い世代もやがて自分の身になる事を忘れてはいけない。 2011.2
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