3月の文学館
3月3日のひなまつりの日に伊香保では雪が降りました。この冬は雪が少ないですが、まだ雪が降るようです。気をつけてお越しください。
この日は夕方には青空が出て、遠くの山は夕日で照らされて幻想的でした。
蘆花先生が3回目の伊香保に訪れたときはお正月でした。伊香保の寒さを次のように記しています。
海抜二千六百尺の北を向いた伊香保の冬は勿論寒い。蜜柑がざくゝに氷りました。温泉がなければ中々堪へられません。でも私共はよく下駄ばきで氷つた山路阪路を滑つたり轉んだりして歩きました。晝は専ら聖書とトルストイを讀み、舊冬から菜食になつたので、肉も魚も廢して、毎日の様に湯豆腐ばかり喰べました。主人が好事の惡戯から、お浪と云ふ女中をつけてくれました。不如歸が思ひがけない廣告になつたと謂ふので、宿では特に心をつけてくれるのでしたが、打置きが好きの私共の氣癖を知つて居るので、よろづ殊立たぬやうにしてくれるのでした。追々氣心を知られると、此方も樂で居心地よく、いらぬ遠慮をして今更他に宿を求むるより、不如歸が出やうと出まいと、矢張最初から仁泉亭が私共には一番ふさはしい宿であつたのです。
みかんがざくざくに凍るという表現が素敵です。寒い感じがダイレクトに伝わります。
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