つながる、つなげる「バトン」 <卒業証書授与式〜式辞より抜粋>つながる、つなげる「バトン」 <卒業証書授与式〜式辞より抜粋>
みなさんへ、卒業にあたって「一つの考え方」を贈ります。
私はスポーツが好きです。小学校の先生として長い間勤めてきて、ある種目の面白さに取りつかれました。その種目とは、リレーです。特に、陸上競技の400mリレー。そのどこに魅力を感じたのでしょうか。400mリレーの世界記録は36秒8です。単純に4人で割れば、一人当たり9秒2で走った計算になります。現在、世の中に9秒2で走る人など存在しません。なぜ、リレーとなると、こんなにも速い記録が生まれるのでしょうか。
人は、走り出してトップスピードになるまでに、10〜30mかかるそうです。ということは、バトンを渡す人も、もらう人もトップスピードということが必要になります。しかも、バトンをもらう人は後ろを見ません。そこに至るまでに重要な要素があります。お互いのタイミングをつかむための練習。そして、目的をもって日々繰り返した練習で培われた「自信」と「信頼」です。今年の卒業生の中にも、広島市陸上記録会に出場し、見事にリレーで優勝した4人が含まれています。その4人にも、同じような信頼と自信が必ずあったはずです。
今の時代こそ、このバトンパスの考え方、信頼と自信が求められているのではないでしょうか。私たちの生活に、生き方に、置き換えてみます。おじいちゃん・おばあちゃん、お父さん・お母さんから君たちへとつながる「命のバトン」。6年生から5年生への「最高学年のバトン」。小学校での学びや経験を生かして、これからの充実した中学校生活につなげる「学びのバトン」。考えようによっては、昨日の自分から、今日の、明日へ渡す「自らのバトン」。そういう見方もできるかもしれません。
これから、みなさんを待ち受ける現実の数々。決して楽しいことばかりではないはずです。しかし、そういう時こそ、今日の日を思い出し、自らを見つめ直し、振り返ってみてください。「信頼」と「自信」につながっている目には見えないバトンがあるはずです。そして、答えがきっと見つかるはずです。みなさんには、期待せずにはいられません。
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