小池治男写真展「自然界の再生(者) きのこ 足元の表情 夢の味」
会期:7月6日(水)~10月23日(日)
会場:田淵行男記念館1階展示室
内容:田淵行男(1905-89)は、1945年に安曇野へ疎開した後、安曇野や北アルプスに生息する蝶の生態観察中心の生活を送り、後年生態写真集『ヒメギフチョウ』(1957年)や『高山蝶』(1959年)によってその成果を集約しました。蝶の生態を膨大な密度の写真と克明な観察記録により自然科学の学術書として高評価を得、写真に平易な文章や詩を添えたことで一般読者の幅広い支持も併せて獲得しました。
「山に入りだした動機というと山の美しさであったし、同時に山を科学しようという慾望からでもあった」という田淵は、「分析的にながめ、即物的に表現」することを志向し、赤外線フィルムの応用、黒の効いた単純化した画面構成により、迫真性を獲得しました。さらに生態写真集編集の経験で会得した、写真と詩や文章とを連携させ、物語性や表現語彙を増幅させる手法を自らの写真集に取り入れました。
同展では、田淵が「高山蝶全部の棲家をひと廻りできる」と語っている常念一ノ沢から常念乗越に登り、蝶が岳、大滝と尾根を歩き、徳沢へ下って上高地へ出る、高山蝶コース(Alpine Butterfly Course A.B.C)を『尾根路』(1958年)と『高山蝶』(1959年)の所載作品で辿りながら、田淵の高山蝶研究の成果を紹介します。
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